長野県の北端にある栄村は、全国有数の豪雪地だ。冬の間、農家が副業として精を出すわら細工に伝統工芸品の「ねこつぐら」がある。その美しさにみせられて、村に移り住んで職人になった女性がいる。安田深雪さん(54)。移住までの道のりは平坦(へいたん)ではなかったけれど、「いまが一番楽しくて、幸せ」とほほ笑む。
ぼたん雪が舞う1月半ば。村の展示施設「歴史文化館 こらっせ」で、安田さんがわらを編む手に力を込めた。伝統文化を紹介する集落支援員として、この施設と村役場を会場に制作を実演している。ねこつぐらは直径40センチほど、高さ35センチほどの猫の家。稲わらでできていて通気性や保温性が高いという。「わら細工は冬の手仕事であり、村の人たちの収入源でした」
夫、猫と別れ「第一の人生終わった」
京都で育ち、府内の公立高校…